四度目の百夜話、 もうすぐ四百目のお話だというのに、 なんだかまだ気持ちが追いつかない。 すこし道草を食ってもいいですか。 * * 以前、浜田広助(ひろすけ)の資料館というのか文学館というのか、 そこでこじんまりした展示を観たことがあって、 わたしを形づくったものは、やはりこうした日本語の物語なのかなと思った。 日本の、ではなく日本語の、端正な文章を目にすると落ち着く。 すこしむかしびとのような語り口はおっとりとして、挑んでくるということがない。 散文詩とおとぎ話と昔話と童話の区別が、わたしにはよくわからないのだが、 童話には童話を名乗る、その世界の黎明期というのか夜明けがあったのだとか。 小川未明や新美南吉はかろうじて読んだことがあるけれど、 雑誌「赤い鳥」を創刊した童話の創始者だという鈴木三重吉についてはさっぱりわからない。 外国の童話を訳したものは、ちいさなときに毎日読んだ。 けれど日本で生まれた童話を読むようになったのは、ずいぶんと遅かったような気がする。 いずれにしてもわたしにとっては、なんであれ皆「物語」で、 今では筋(すじ)もよく憶えていないほど、眠くて舟を漕ぐ間(ま)の短い寝物語だった。 悲しすぎてはいけない。 残酷すぎてもいけない。 教条的にすぎるのもいただけない。 ほんのほんのひと匙、可愛げがなくては。 日本の物語では、浜田広助の書くなにげなさを大切に慈しむところが、 わたしには好ましく感じられる。 さりとて田舎くさくなく、重くなく、斬りつけてくるようなひんやりした感じがない。 なんだかおじさんばっかりのような。 川底にしずむまえにちらと青空を見て沈んだり、 えだからおちてもなかないで、ひとりでおきる月夜のどんぐりになりたい。 おまけ 浜田家所蔵の素敵な年賀状 今頃はみんな、年賀状を書いている頃だろうか。 このお年賀の初山 滋のお話は、また次の夜に・・。
by NOONE-sei
| 2008-12-09 02:14
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